無名バンドはチケットノルマとどう向き合うべきか

2019.1.4

チケットノルマがバンド活動を..............マンネリ化する原因

活動を続けていくうちに、どのバンドも直面するのが「マンネリ」です。成り行きで集まったメンバーと成り行きで出ることになったライヴハウス。同じ環境で活動を続けるうちに、「最近どうもパッとしないな」と感じることはないでしょうか。

 

その原因の一つとなっているのが「ライヴハウスのノルマ問題」です。ライヴハウスは、全国各地のバンド活動支える商業施設の一つで、バンド活動=ライヴ活動と言っても過言ではないでしょう。

 

しかし、当たり前の様にチケットノルマ代を支払って出演しているライヴハウスとの関係が、現在のバンド活動のマンネリ化を助長させているかもしれないのです。

ノルマ制度は日本のライヴハウスだけに見られる特殊なもの

日本のライヴハウス産業の本質は、「チケットノルマ依存」です。これを読んでいる皆さんは、アマチュアバンドがライヴハウスに出るなら、ノルマは当たり前だろう」と思っているかもしれませんが、実は出演者からのノル収入マありきのライヴハウス経営というのは、海外ではあまり見られず、日本独特の構造なのです。

 

驚くことに、そもそも欧米ではライブハウスどころか「Live house」という単語すら存在しません。アーティストそのものを目当てにお金を払うのは「コンサート」で、多くのアーティストは下積みをバーやパブなどの酒場で経験します。

 

要するに、日本のライヴハウスは、無名バンドからお金を取って出演させ、それなりの音響や照明で、悪く言えば「無名でもアーティストになった気分」を提供することで成り立っている訳です。おそらく存在しているライヴハウス経営者の多くは、この「出演者からノルマとしてお金を徴収する仕組み」が、日本独特のおかしなシステムだと認識していないはずです。

 

ノルマ必要論を唱える側の論理

一方で、チケットノルマを肯定する声もあります。音楽関係者が書くコラムなどでは、昔からこの「チケットノルマの是非」についてが取り上げられています。最近では、「嘆いてもしょうがない」という諦めもあるのか、「ノルマは必要」という意見が少しずつ目立つようになりました。この「ノルマ必要論」を唱える側の論理は以下の通りです。

 

「ノルマありのライヴには出ません」は実力なしバンド宣言だからお勧めしないという主張

世間の「ノルマは必要」を主張する側の意見で多く見られるのは、「ノルマが嫌だからといって意固地になっても、いつまでも人の目に触れる機会が回ってこないよ」という内容です。これは、もっともな話で、確かに、動員力のない無名のバンドが、チケットノルマ制をいくら嫌悪したところで、肝心の「多くの人にライヴを見てもらう」機会は増えません。

 

「ノルマは必要」という側に見られるもう一つの主張は、「イベンターやライブハウスのブッキング担当者などに対して、自信もやる気もありません、と宣言することになり、本当によい条件のブッキングやイベントがあっても声がかかりにくくなる」というものです。

 

こちらも確かにその通りです。ライヴハウスやイベンターは、あくまでビジネスで、特に賃料などの経費が発生するライヴハウスは、収益がなけれ倒産します。そんな中、「ノルマは嫌です」「自身もやる気もありません」と受け取られる様な態度のバンドに対して「チャンスを与えよう」と考える奇特な人は少ないでしょう。

集客能力のないライヴハウスが出演者にノルマを課すのも経済活動の自由

チケットノルマ ライブハウス 

こうして聞くと、一見「やはりノルマは必要か」と考える人も多いかもしれませんが、それはそれで早計です。

 

何故なら、ライヴハウス側は、「店への集客(売上)という金銭的課題」を、自らの宣伝活動によって解決するのではなく、出演者に対して「チケットノルマを課す」というアイデアを採用したに過ぎず、要するに、ライブハウス自身も「集客する能力がない」のです。全国どこを見ても、一部を除いて、ライヴハウスそのものの集客力によって成立しているライヴハウス(=出演者からノルマ出演料を一切取らないライヴハウス)は、ほとんどありません。

 

実際、どんなバンドが出演するかも分からずに「あのライブハウスへ行きたい」と思う人はあまりいません。しかし店舗を構えている以上、家賃や光熱費、投資した設備費の回収に人件費など、あらゆる経費がかかります。そんな中で、「出演バンドで分担するチケットノルマとして徴収する」という方法をとれば、いとも簡単に経費は回収できてしまいます。経済活動の自由がある限り、ライヴハウスがこの方法を採用するのも自由で、言うなれば、「集客力のない無名のライヴハウスが経営していくには、出演者に課すノルマは必要」ということになります。

ノルマに対して盲目に従うのではなく「能動的選択」という姿勢で

バンド自身が「ノルマのあるライブを拒否するのも自由だし、ライヴハウスがノルマ制を採用するのも自由」という事になります。「そんな当たり前の事を」という声が聞こえてきそうですが、これまで通り、やみくもに「ノルマは仕方がない」と何も考えず、言われるがまま従うのと、ここまで述べた「ライヴハウス側の論理」を知った上で選択するのとでは、大きく違います。

 

では、バンド自身が「分かった上」でお金を支払って「ノルマありライヴ」選択するのはどんな場合でしょう。それは「経費の投資先」とする「能動的選択」という考え方に繋がります。バンドがライヴハウスに望むことは、本来「認知度アップ」のはずです。では、ノルマを支払って出演することが「認知度アップ」に直結しているでしょうか。ここをよく考えてほしいのです。

 

仮にチケットノルマが「1バンド30,000円(2,000円×15枚)」で、自分たちで呼べるお客さんが0人だとすると、30,000円を支払って得られる対価として見合っているかどうかを考えるべきです。もちろん、「自分たちのやっているテイストに近い出演バンドが多いし、お客さんの数も期待出来るから30,000円なら安い投資だ」と考えて「出ます」というのなら、これはとても建設的な考え方です。

 

良くないのは、「自分たちは無名だから、未熟だから、ノルマは当たり前」という自虐的な考えで活動することです。実際、そんな考えで活動を続けているバンドは声を揃えて「自分達なんて」という発言が目立ち、はたから見ても「まず売れないだろうな」と感じたりします。

まとめ

プロを目指して活動するバンドがライヴハウスに出演する目的は、本質的には認知度アップのためでしょう。他にも「ライヴという場数を踏む」「出演者らとの人脈を作る」など、様々な思惑をもってライヴ活動に精を出しているかと思います。忘れないでほしいのは、お金が発生する以上、それはバンドにとっての「投資」です。

チケットノルマ代に消える数万円があれば、例えば「オリジナル曲の動画の再生数を伸ばすためにTwitter広告を出稿する」ことや「代行業者に頼んでメディアに取り上げてもらう」など、今の時代だからこそ可能な「認知度アップ方法」はいくらでもあります。

 

もし、あなたがイベント主催者やブッキングマネージャーから漠然と誘われるがままに出演をOKして、バイト代をチケットノルマに注ぐ様な生活を続けているとしたら、その「数万円」で何ができるかを、改めて考えてはいかがでしょうか。

プロフィール

よっしー

よっしー(田中義一)

1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚