2017.12.14
ピアノに次いで鍵盤楽器として有名なものといえば、オルガンが挙げられます。直接的に指名されることが少ないやや影の薄めな楽器ですが、その音色の種類や性質は独特のものをもっており、他の楽器と区別する必要があります。繊細な変化に富む音が多くなった中、扱うには意外と難度の高い音ですが、他の音に埋もれずに個性を押し出せる楽器なので、DTMでも使えるようになるとなかなか楽しいものがあります。
機械的な仕組みで空気を流して発音する、というオルガンの基礎系を考えると、その原型は紀元前に遡るほど歴史が古く、宗教的な行事に用いられる前から一般に親しまれてきた楽器です。機構の特性から強弱や音色の変化を自由に行うことができないものが大半で、音楽家から表情に欠けるという評価がなされることもあり、機能の向上と流行に乗ったことにより、ようやく多様性確保と価値見直しがなされていった楽器ともいえます。
管楽器の一種にあたり、演奏者は金管楽器や木管楽器ほど発音の機構に直接的に触れないので、音色自体はほとんど変えられず、まっすぐなものが出ます。その朴訥でソロ演奏に向いている音と、ピアノより安価で丈夫、運搬に向くという利点から、小型のオルガンは世界的に広まり、日本の音楽教育にも大きな影響力を持つことになりました。その後はピアノの隆盛に押されてしまいましたが、伝統的な機構を使った音の価値を尊重する向きもあり、DTMにおいても様々なオルガンの音色が収録されていてその進化の多彩さを実感することができます。
古くなって数が減少してしまったものの、実物に触れる可能性が一番高いオルガンはこの足踏みタイプだと思います。リードを使うため、アコーディオンやバンドネオンと似通った牧歌的な音を出すのが特徴です。
継続的に同じ音を出すのがオルガンの性質ですが、リード・オルガンは音の出始め(アタック)と終わりが少しだけ丸くなる特性があり、その柔らかさが愉快さや古めかしさの表現に似合います。DTM音源での扱いとしてはReedと表記されていることがほとんどで、なくなってしまった特定の系譜を模したものは、そのままの名前が使われていたりします。
厳密にはハモンド・オルガンの一種でしたが、DTMではこれが便宜上代表として扱われることの多いオルガンです。トーンホイールと電磁ピックアップによってオルガンの音を再現するもので、実際の管を持たず、独特のコーラス効果で音程が滲みます。複雑ながらビビットな音で、ジャズやロックでよく使われているため、オルガンといえばこの音というイメージの方も少なくないと思います。
名称にもなっているドローバー機能は音を構成する基音のボリュームを調整するもので、これによってオルガンの中では珍しい音作りが可能となっています。元が電子的な楽器であるため、左右に音を飛ばすロータリー、コーラスやビブラート、パーカッションやディストーションなど他のエフェクトが予め搭載されていることも多いです。そのため一台で伴奏の空間を担当してしまえるほど音を広げられますが、大合奏の中でも埋もれることなく主張してくるので、繊細な楽器と合わせる際には注意が必要です。
パイプ・オルガンの崇高であらゆるものを飲み込んでしまいそうな音色は、大仰なバロック文化と共に強く印象付くものとなっています。他のオルガンの音色とは明らかに存在感やインパクトが違い、ホール系のコンボリュージョンリバーブと合わせた時の威力は凄まじいものがあります。「実物の楽器じゃまず代用できない」代表格でもあるので、ジャンルを問わず飛び道具のように使われていることが多いです。
DTMの音源としては、種類の少ない廉価版では大教会のパイプ・オルガンが優先して搭載され、高価な音源では時代による作りの差や小教会仕様のものなど、細かいレパートリーが増える傾向にあります。
実態としてはほぼ電子オルガンにエフェクトを加えたものになりますが、ジャズやファンクなどジャンル用に用意されたオルガン音源もあります。必ずしも表現したいものに合うとは限らないので各自調整する場面も出てきますが、素のオルガンの音と比べてどのような加工がされているのか、参考にする機会もあるでしょう。シンセサイザー音源でもオルガンを模したものがよく入っています。
オルガンに共通する特徴として、音を出してから性質や音量が変わらない固い音というのが挙げられます。この「変化なし」というクセは減衰する音や任意で変化させる音と比べ、曲の流れの中で荒々しく浮きやすい存在となるので、和音の構成や音の長さには一段と気を遣うことになります。逆に言うと、エフェクトやオートメーションであまり誤魔化しが効かない分、編曲に集中できるのでそちらを鍛えるには適している楽器です。使いにくいと感じる音はつい避けたくなるものですが、成長のきっかけがそこに眠っていたりしますので、使っていないオルガンの音をたまに掘り起こしてみると良い刺激と思います。
今日は以上です。
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よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚