2018.11.19
初心者ドラマーの皆さん、普段の練習、どうしていますか?日本の住宅事情を考えると、「自宅でいつでもドラムが叩ける」という環境にある人は少ないのではないでしょうか。
安くない費用を出しての「スタジオでの個人練習」や、「自宅でパッド練習に勤しむドラマーは沢山いますが、それでも、なかなか「上達が実感できない」という人も多いかと思いますが、ひょっとしたら、それは、「練習を一旦やめるべき」というサインかもしれません。
いわゆるスランプ下では、「何をすれば上達するのか分からない」「自分のリズムが良いのか悪いのか分からない」といった状況にあります。
そのため、「俺は何をすればいいんだ!」と、まるで特効薬を求めるかのように、分かりやすい正解を探し始めます。
気が付いたらYoutubeで「ドラム 上達法」「ドラム 練習法 初心者 スランプ」などと検索していたという経験はないでしょうか。
確かに、ドラムのプロ講師が公開するYoutubeの動画は解説も分かり易く、とてもありがたいものです。しかし、こうした特効薬にも見える「具体的な練習方法」は、一歩足を踏み入れると、それを求める者を「情報コレクター」へと変えてしまう恐れがあります。
そこで、ここでは「最近スランプ気味だ」という初心者ドラマーのために、発想を180度逆転させた「スティックを持たない練習方法」を紹介します。
今回紹介するのは「スティックも持たず、ドラムセットに座らない」という方法で、正確には練習方法とは言えないかもしれません。
ただし、実際にやってみた多くの初心者ドラマーが「上達を実感」している方法なので、特に「ドラムセットを叩いていくら練習しても上手くなっている実感がない」という人には、ぜひ試していただきたいと思います。
具体的なやり方としては、単に「ドラムを叩かない」というだけの事ですが、あえてステップとして分けるなら以下の様な流れになります。
まずは、ドラムセットやスティックから離れることからスタートします。
上達に悩む多くの初心者ドラマーは、その焦りからか、練習の量を増やしがちです。
ドラムに限らず、何事も「上達するには練習」という考え方が世間一般的な常識として通っているので、もしかしたら途中で「練習しなきゃ!」という衝動が沸き起こってくるかもしれません。
それでも一度リフレッシュするつもりで、しばらく「ドラムから離れる」と決めてください。
禁煙の目標設定に近いイメージで、具体的に「90日間」などと設定する方が好ましいです。
そして、この「禁ドラム」を開始してしばらくすると、まるで禁断症状の様に、ドラムに触れたくてウズウズするはずです。
人によってこの「叩きたい衝動」が起こるのは、翌日だったり、1か月後だったりしますが、普段の生活を送りながら、「もう叩きたくてたまらない」という欲求が起こるまで待ちます。
自分の中で「とにかくそろそろ叩きたい」という気持ちが起こっている事を自覚してみましょう。この「欲求を自覚する」というのが重要になります。意識に上げるだけで構いません。
ステップ2の「叩きたい欲求」を自覚する頃には、カフェでのBGMやテレビから流れる音楽など、どんな音を聞いても「脳内でドラムを演奏している」状態になっているかと思います。
注目すべきは、これが無意識下で行われているという事です。
これは「ドラムを叩きたい」という欲求を我慢しているので、「自分ならこう叩くのに」「今のスネアの質感はどうやって出すんだろう」といった具合に、潜在意識が勝手にドラム演奏に関する学習をしている状態です。もちろん本人に自覚はありません。なぜならあくまでこれは「潜在意識」が勝手にやっていることだからです。
1~3のステップを経て、ようやくドラムセットでの演奏が解禁となります。思う存分演奏してみてください。我慢していた期間、ドラムに関する具体的な練習や知識習得は何もしていませんが、「毎日の様に練習していたにもかかわらず、伸び悩んでいたいたあの時期」にはない様々な発見に衝撃を受けるはずです。
ここで発見する内容の多くは、「このハイハット、クローズした時の音が野暮ったいな」「この8ビート凄く気持ちいい!」といった、些細なものである場合が多いかと思いますが、以前は「この小さな発見」すら体験出来ていなかったのではないでしょうか。
ここまでの流れで、ひょっとしたら「でもやっぱりこれで上達するとは思えない」という人もいるかと思います。そんな人のために、最後に、「叩かない」ことがなぜ効果的なのかを説明します。
それは、「理想と現実のギャップに鈍感になってしまうから」でしょう。この「叩かない練習」の本質的な目的は、理想と現実のギャップを明確にすること」にありますが、そもそも練習とは、「理想的な演奏」「理想的な音の表現」というゴールに向かって「理想と現実のギャップを埋める作業」とも言い換える事が出来ます。
ギャップを感じるからこそ、「現実はこうだけど理想はこんな感じ」とイメージ出来て、あとはそこに向かって、まるで赤ちゃんが言葉を覚える様に、自然に上達してくのです。
仮にドラムを始めた最初の頃、「理想100点:現実10点」だったとします。そこから、日々のスタジオ練習で「ドラムを叩くことが当たり前」になっていくにつれて、どんどん「理想100点:現実30点」といった具合に、現実のレベルが上がっていきます。
レベルが「上がる」と聞くと、とても良いことのように思えますが、ここに大きなリスクがあります。
例えば、学生の頃は「料理」というワードからイメージするものは「食べるもの」「お母さんが作ってくれるもの」だったりしますが、一人暮らしをしたり、レストランでバイトするなど、自分の状況が変化するにつれて、「料理=家で作るもの」「料理=バイト代を稼ぐもの」など、連想するイメージがどんどん変化します。
それと同じで、初めは「ドラム=憧れるドラマーの演奏」だったのが、ドラムセットでの練習が当たり前になると、「ドラム=自分の演奏」と変化していき、自分では自覚していなくても「自分の下手な演奏」に違和感を覚えなくなってしまうのです。つまりギャップに鈍感になるという訳です。
潜在意識レベルで「自分の下手な演奏」に違和感がないからこそ、何が悪いのか分からず、スランプに陥る訳ですが、「しばらく叩かない」ことで、「ギャップを正しく認識する効果があるのです。
いかがでしょうか。この「ドラムを叩かない期間を設ける」を試すことで、常に「理想と現実のギャップ」を明らかにし、「上達力をMAX」に引き上げることが可能となります。
スランプに悩んだら、騙されたと思ってぜひ試してみてください。
よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚