2019.11.28
ギターを本当に極めようとするなら、何十時間と練習に明け暮れるのは誰しもが通る道。イングウェイ、ジョン・ペトルーシ、ポール・ギルバート。幾多のレジェンド達にもひたすらに練習に練習を重ねたキッズ時代があったと言います。
かく言う私も大学時代は1日16時間をノルマにギターを弾き続けてきましたが、22歳ごろから、なんとなく全身に痛みが残り続けたり、目まいや立ちくらみに見舞われるなど、徐々に体の不調を訴えるようになりました。平均5つのバンドを掛け持ちしていた私でしたが、背中や腰の痛みに耐えきれず練習にも支障が出るように。
当時真剣にプロのミュージシャンを目指していた私は、ここで初めて体や練習量のコントロールを意識し、その始まりとして演奏フォームの研究をはじめました。追求していたのは”長時間の練習に耐えられながら、その上で音質や演奏能力の向上が見込める”フォーム。そして様々な文献を読み漁り、試行錯誤を重ねた結果、たどり着いた答えは「重力」でした!
今回はそんな「重力」を意識した、演奏フォームについて右手と左手それぞれに分けて解説していこうと思います!
ギター演奏における右手の役割はたった一つ。それは弦を鳴らすこと。すなわちピッキングになります。私の見解では、このピッキングには大きく分けて次の3つの種類があると考えています。
●ストローク・ピッキング
●コンパクト・ピッキング
●サンプ・ピッキ
では3種類のピッキングについて一つ一つ解説していきたいと思います。
「ストローク・ピッキング」というのは皆さんもご存知の通り、手首あるいは手首から肘の関節にかける領域を支点に弦を鳴らしていくピッキングです。
3本以上の弦を鳴らしたい時に有効な奏法で、主にコード演奏やカッティングに使用するのが一般的かと思います。
続いて「コンパクト・ピッキング」ですが、これは手首周辺を支点に上下運動の領域を減らしたピッキングになります。ストロークよりも動きが抑えられているため、早いピッキングが可能です。単弦を利用する早弾き、スケールの多連符を演奏するのに有効で、音圧や荒々しさを追求していくと、クリス・インペリテリのようなマシンガン・ピッキングに発展します。
最後の「サンプ・ピッキング」は、ピックを持つ親指(サンプ)周辺を支点として動かすピッキングです。手首・肘は完全にピッキングに関与しなくなります。動きがより省力化され、スピードはもちろん、熟練すれば繊細な弦のコントロールも可能になります。早弾きはもちろん、スキッピングや、弦移動を挟むスケール、スウィープなど幅広いジャンルに応用できるのが魅力です。
この奏法を極限まで追求したのがイングウェイ・マルムスティーンで、彼の楽曲は譜面を見ただけで顔が青ざめるほどシュレッドが詰め込まれており、それが5分・6分と続きます。そんなヴォリュームある早弾きを難なく弾けてしまうのは、彼の才能もあるでしょうが、洗練化されたピッキング技術もそれを後押ししている要因ではないかと私は考えています。
ここまでピッキングの種類について語らせていただきましたが、解説の中で私はあるポイントに必ず触れるように意識していました。それは「支点」についてです。さらに支点について語るとき、必ず「〇〇周辺」と表現するようにしました。
ここで重要なのは支点を固定しないということなのです。手首だけ、肘だけ、親指だけ、とピッキングをする際に支点を固定化してしまうと、腕や全身に力みが生じ、フォームの歪みや体の故障につながっていまします。確かにピッキングをコントロールする際には、体の基準点が必要になりますが、そこだけに意識を向け過ぎるのは良くありません。あくまで「〇〇周辺」が大事だと認識してピッキングするようにしましょう!
ピッキングにはダウン・ピッキングとアップ・ピッキングが存在します。これらのコンビネーションがオルタネイト・ピッキングで、あらゆる演奏の中で使われています。
さて、私はこのダウン・ピッキングとアップ・ピッキングに「重力」の考え方を取り入れ、より効率的で負荷のかからない方法を編み出しました!
まず左手にピックを持ち、おへその位置でキープします。これをニュートラルポジションと呼ぶことにします。そしてそこから手の力を抜くと、重力に従いストンと自然に手が落ちていくはずです。これがダウン・ピッキングの究極形です。
対してアップ・ピッキングはダウン・ピッキングにより落ちた手を再びニュートラポジションに戻す作業になります。一連の動作には新たに力を加える局面はなく、理論的には最小限の力だけでピッキングが可能になります。余計な力が入らなくなるため、体への負担も少なくなります。さらに力みのないピッキングは音圧や音のヴォリュームを均等に保つ効果もあり、綺麗な音色を出すことにも効果があると言われています。
もちろん実際の演奏ではここまであからさまに実行する必要はありませんし、そんなことできません! しかしこの理論を意識してるかどうかで、身体へのホスピタリティーが大きく変わってきますし、より洗練されたピッキングに直結することは間違いありません! 私もこの理論を身につけて7年余り経ちますが、体の負担や痛みは軽減されると同時に、それまで自分のピッキングに相当な力みが入っていたことを痛感しました。
運指を始め多くのことが要求される左手よりも、行動がピッキングに限定されている右手の方がより簡単に脱力化を実践しやすいかと思います。理論を意識するだけでも全然変わってくるでしょう。右手が利き手の場合、一般的に右半身の方が筋肉量は多く、比重は重いとされています。そのため力が入りすぎると体全体のバランスが保てず歪みにつながってしまいます。ですので右手の脱力を試みることは、フォーム改善への第1歩なのです!
プロのミュージシャンはもちろん、ギターキッズ、ミドルギタリストの方も是非お試しいただければ幸いです。
⇒【CDプレスとは何かを知ろう】レコ発前に知っておきたい基礎知識
⇒初めてレコ発するバンドのためにレコーディングスタジオの選び方から作業内容を徹底解説します!
⇒CDジャケットの作り方【素人でもプロ並みのCDジャケットを自作】
⇒バンドロゴを作成してグッズ収入をゲット??お気に入りのバンドロゴを作る方法!!
⇒バンドグッズ人気物販ランキング10選!おすすめ制作会社も紹介
よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚