2017.4.28
DTMの初心者は、PCはどう用意すればいいのか、制作ソフト(DAW)や音源は何を使えばいいのか、など考えることがたくさんありますよね。それらの解説は多くあるのですが、モニター用機材と呼ばれるいわゆる音の出口、イヤホン、ヘッドホン、スピーカーも品が非常に多くて、迷っている方も多いと思います。そこで、それぞれの機材の特徴や、合った使い方について解説してみようと思います。DTM環境作りの参考にしてみてください。
モニター機材といえばヘッドホンやスピーカーが先に思い浮かんで、あまり気にされない方も多いと思いますが、実際に音楽制作をやり始めるとイヤホンの利点も大きいことに気づきます。
オープンエアーとも呼ばれる2000年代に入るまで主流だったタイプで、非常に軽く、耳への負担が少ないのが特徴です。
残念ながら音の再現性では一番不利で、音漏れもする機材ではあるものの、その分安く入手でき、外のラフな環境で使い回すのに向いています。
大きな音が出せない環境で、長時間弾く練習をしたりメロディーを練り直すような時、負担を減らすのに役立ってくれます。
2000年代から普及して、今主流となっている耳栓型のカナルタイプは、その構造の特性から低音の出力と細かい再現力が長所となっています。
メーカーの表示では、オープンエアーと同じ周波数帯(20Hz~20000Hzなど)の表記だったりしますが、低音の音量は全くと言っていいほど違っていて、オープンエアーより多く出るものがほとんどです。Sonyのカナルタイプのイヤホンは、特にこの傾向が強いです。空間を密閉するので音漏れしにくく、細かい音の差を聞き取りやすいのもメリットで、分散してしまいがちな高音もかなり拾えるようになります。小さい音量でも十分聞き取れる構造ですが、その分負担が大きく聴力の面で疲れやすいので、合ったイヤーピースにして、音量を絞って使いたいところですね。
イヤホンが有利な点は「音を周囲に漏らさないようにする機材で、一番軽くて持ち運びしやすい」ところです。着け心地の良いヘッドホンでも、重量があるものを長時間使用しているとどうしても疲れます。眼鏡を常用している方は尚更ですね。
音作りやミックスなどの精細さが求められる場面ではなく、メロディーやコード進行の大まかな部分の作成をやるような時は、イヤホンの使い勝手の良さが輝きます。また、低音の出方は音楽自体の聴き疲れやすさにも影響するので、低音が最も耳に近くなるカナルタイプで聴いて重たくなりすぎないように調整すると、他の機材で聴いた時も無理のない仕上がりになります。
一方で、小さい構造上、リバーブやコンプレッサーなどの音の奥行の再現と調整はかなり厳しいので、他の機材で調整したほうが良いでしょう。
モニター用として最も使われているであろうもので、遮音性とある程度の空間を伴った繊細な出力が頼りになる機材です。
モニター用の機材としては高価な方になりますが、高音の抜け方、消え方を調整するのに一番向いているヘッドホンです。音の逃げ場を作っているため、音量が大きくても割れにくく、密閉しているものより音がマイルドになりやすいという特徴もあります。
バランスの良い機材であることが多いですが、これを基準に過激な音にしてしまうと、他の機材で聴いた時により尖った音になってしまうことがあるので、その点には注意が必要です。
費用を抑えつつ、音の奥行きと繊細さを調整するにはうってつけのヘッドホンです。スピーカーを常時鳴らせないのは音楽やDTMをやる人以外でも良くある話なので、リスニングでもこのタイプが広く普及しています。
モニターとして使う際の注意点として、構造上大音量にすると音のバランスが崩れて全体像を把握しにくくなるので、小さい音量やスピーカーでのテストも忘れないようにすることが大事です。
ヘッドホンの有利な点は「時間を気にせず使える上、ミックスなどの繊細な作業も可能」というところです。音の再現性に納得できるものを選ぶことができさえすれば、メインの機材として長く愛用することができます。繊細に聞き取れるので音作りやミックスに常用できますし、距離が少しある分音量を大きくしても聴力の疲れはイヤホンよりも軽いので、一つは主力となる一台を持っておきたいところですね。
欠点は装着の負荷が一番大きくなるところにあります。特に側圧が高く、締め付けのきついものは後悔する可能性が高いので、サイズをよく確認し、実物をテストできる店舗があれば試したほうがいいでしょう。
モニターとして確実に用意しておきたい機材です。USB電源で動くPC用の簡易なものからアンプを使った大型パッシブスピーカーまで、イヤホンやヘッドホン以上に様々な製品があるのでその部分の解説は省略します。ただ共通することとして、大きな筐体で空間に対して音を出すので、よほど廉価でない限り再現性は高いものを見込めます。
また、ミュージックビデオなどにしてテレビに映したり、どこかの会場で流すようなことがある場合は、空間での響きを確認するために必要になります。耳に直接つけて頭の中で左右を判断するタイプのモニター(イヤホン、ヘッドホン)と、決められた位置に設置されたところから音を届けるモニター(スピーカー)では、左右関係を示す「定位」の印象がガラリと変わるので、その差の修正、調整にも必要と言えます。
どうしても高額になったり場所が必要になったりするので、あまり余裕がない方はコンポ、テレビ、PCモニターなどを代用として使う手もあります。
コンポやテレビには大抵音声入力用の端子があるのでケーブルやアダプターでつなげば安く転用できますし、PCモニターもHDMIやDVIのものだと廉価なスピーカー機能がついていることがあります。
スピーカーの有利な点は「直接体につけて受ける負担が皆無、外で鳴る本来の音の姿が確認できる」ところにあります。イヤホンやヘッドホンはいつでも使えて便利ですが、空間に出した時の鳴り響き方が完全には確認できないので、それだけで曲を仕上げてしまうと、いざコンポなどで鳴らした時に「こんなはずじゃなかった」となりがちです。特にリバーブやイコライザーを用いた遠近感の調整は一つに機材に頼りすぎると危ないので、スピーカーを同時に使いつつ、どちらでもおかしくないバランスを探り出すことが鍵となります。
環境が許す限り、体への束縛が一切ないのもスピーカーの強みですね。弱点は、音が耳元に届くまでに分散するので、細かい音作りや音量音圧の微調整には不利な面が否めないところです。
モニター用として売られている商品はたくさんありますし、リスニング用のものでも再現力が高く、音楽制作に十分使えるものもあります。予算は各々の懐事情に相談するしかないですが、それぞれの機材の特徴と有利不利をしっかり把握すれば、無駄にお金を使うことなく、今あるものや自分に合ったDTM環境を作ることができます。
これが絶対!というように一つの機材に固執してしまうことなく、良曲の条件でもある「どの環境でもバランス良く鳴ること」を目指して、使う機材を整えてみましょう。
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よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚