DTMのディレイを徹底解説!自分なりのディレイ効果を作ってみよう!

2017.10.24

ディレイ DAW

音を魅力的にするエフェクトは様々ですが、使用者の感性によって使いどころや頻度も大きく変わってきます。今回はそのうちの一つ、ディレイに焦点を当てて、その種類や使い方を解説していきます。サンプル曲を用意したので、その効果と編集の様子を実際に見聞きしながら、技能向上に役立ててみてください。

ディレイの種類について

まず、基本的なディレイの効果について整理しておきましょう。元の音を指定した時間分遅らせ、減衰させて出すエフェクトのことで、声が返ってくる「やまびこ」と考えれば理解が早いです。空間を想定した残響音で全体をぼやけさせるリバーブとは明確に違いますが、原音を元にしてほとんど変わらない音を付加するエフェクトとして近い位置にあり、処理の重さも似通っています。使い方によって種類、呼び方も異なってきます。

 

・ボーカルディレイ

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ドライなままのボーカルでは質感やリッチさに欠けるため、その補強に使われるのが非常に短い間隔で少しだけ被せるボーカルディレイと言われるものです。大体150ms~200msくらいの長さを30%未満でかけるのが主流だと思います。

 

素の状態の音の尖りを和らげるだけでなく、他の楽器の響きと合わせる時に印象付ける効果もあるので、ボーカル曲を作る人は抑えておきたいエフェクトです。ほとんど使い方での呼び方で、ディレイの種類として独立していることは少なく、基礎的なモノラルディレイで十分こなすことができます。エフェクトのプラグインを多く擁する製品なら、ボーカルに向いた機能をつけたディレイが付属していることがあるので、それを使い込んでみるのがいいでしょう。

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・ピンポンディレイ

ディレイ音が左右に揺れるタイプはこう呼ばれます。簡単に音に躍動感と広がりをもたせられるのでエフェクト単体として使いやすく、廉価なDAWや音源にもよく搭載されています。効果は派手ですが、音自体がかなり分散するのでストレートな音を聴かせたいトラックには向きません。

 

使う時はその効果も考えた上で響きを考えなければならないので、曲を作る時も先にピンポンディレイをかけてから音を鳴らしつつ、トラックを作っていったほうがやりやすいと思います。オートパンとディレイの組み合わせとの違いは、成分だけが揺れるか、音全体を揺らしているところにディレイをかけるかということになります。

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・アナログディレイ

元々ギターのエフェクターとして多用されてきたもので、アナログ回路(BBD素子)特有の高音のぼやけた暖かみのあるディレイ音が返ってくるタイプがこれです。遅延音の構造パターンというよりその音の性質、フィルター的な機能が重視されているので、音の性格が変わるものと覚えておくと取り扱いやすくなります。エレキギターを演奏する方やその音を取り入れたい方なら手放せないエフェクトの一つだと思います。

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・ステレオディレイ

アナログディレイと区別してデジタル機器上のものをデジタルディレイと呼んだりしますが、その中でも特にデジタルの強みを搭載できるのがステレオディレイです。SyncによるDAWとのテンポ同期などを兼ねながら、左右で独立したディレイをかけることができるので、表現の幅が大きく広がります。

 

ピンポンディレイより凝った設定が可能なので、新しい表現を模索する難しい領域に片足をつっこむことになりますが、尖った曲に挑戦したい方は一つもっておくと優れた武器になってくれると思います。

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廉価な音源などではあまり見られず、単体のディレイからディレイ音を抽出して重ねる方法もありますが、前時代的なやり方で効率も非常に悪いためお勧めできません。処理的にもやや重い部類なので、ある程度環境を整えてDAW、音源、プラグインのどれかに載っているのを買うか、フリー配布のステレオディレイを導入してしまうのが手早いでしょう。

基本的にリバーブは後にかける

同じ残響のエフェクトですが、順番はディレイ→リバーブが無難で綺麗になりやすいです。音の構造を図にして考えれば単純なことですが、リバーブを先にすると全体にかかった残響がディレイでブレることになり、あまり音楽的にならないケースが多いです。

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意図的にそうした表現を狙わない限り、ディレイ→リバーブの順番は守ったほうがいいでしょう。ディレイの後にリバーブをかけると、連なった音にリッチさが増し、ドライな音から豪華で印象的な音に変えることができます。ポップスやバラード、エレクトロニカなど様々なジャンルで使われる定番の手法ですが、曲調や展開に合わせて作る必要がありますし、根本の方法が同じだからといって飽きられるようなものではない王道といえます。

 

ミックスを進めていくとわかりますが、ディレイとリバーブは切り離して考えられない関係性の深いエフェクトなので、ほぼ同時に調整していくことになります。音源にリバーブがついていることは多いですが、ディレイがその先についていることは稀なので、外部からディレイを使う場合はリバーブを下の段に置いて使いましょう。ディレイのエフェクトを多用して作ったサンプル曲がこちらになります。

次は曲中でどういうやり方で、どういう効果を狙って使ったかを解説していきます。

 

アルペジオとSyncの相性が良好

DTMの表現の強みの一つ、テンポ同期のSyncによるディレイは分散和音、アルペジオとの相性が抜群です。

「ハーモニー、コード感の表現が陳腐になってしまう」というのは編曲にありがちな悩みですが、それを緩和するアルペジオにこのエフェクトをかけると、実演奏だけでは得られない浮遊感を演出することができます。サンプル曲の6秒から32秒まで鳴っている、高音のピロピロしているブラスのアルペジオ音には、16分のディレイがかかっています。

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リバーブで滲ませることもできますが、Syncディレイによるズレの重なりはタイミングの整った面白い響きになるので、一考する価値があります。あからさまにわかるような目立つかけ方はあまりされないので、普通に曲を聴くだけでは気づきにくい手法ですが、シンセな音、アコースティックな音に関わらず使うことができるので活用の幅は広いでしょう。

音の像をぼやかせて捉えどころをなくす効果

ステレオディレイなどを使って複雑な響きにするほど、この効果も高くなります。32秒から曲調が変わってギターとパンパイプが伴奏に出てきますが、言われれば音はわかるものの、あまりしっかり鳴っている印象がありません。ギターには16分のピンポンディレイ、パンパイプにはLに4分、Rに8分のステレオディレイを使い、位置関係を頻繁に飛ばしているためストレートな響きをもたないからです。

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逆にリバーブのみのシンセベース、バスドラムのほうがしっかり粒立って聴こえるくらいです。

 

このように複雑なディレイは、他と重ねた時に音の印象を分散させてしまう効果があるので、相対的にエフェクトのかかっていない音を「意識的にしっかり聴かせるストレートな音」に仕立て上げることができます。エフェクトをかけるとなると音を目立たせるプラスの印象が強いですが、設定によっては良い意味でマイナスにもっていく、控えさせることができるということも覚えておくといいでしょう。

短いディレイは輪郭をなめらかにして印象づける

32秒からのエレクトリックピアノにはショートディレイ、つまりボーカルディレイと同じタイプのディレイをかけています。目立っているのはリバーブやコンプレッサーなどの効果もありますが、音の出だしの質感はディレイの効果によるもので、他のエフェクトでは実現できません。

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このようなショートディレイの効果を狙うには、32分などでも違和感があるのでSyncを外し、曲とトラックに合わせて好きな時間を設定するのが一番です。トラックをソロで聴いたらわかるくらい薄くかける程度で十分で、使うディレイの種類はモノラルディレイなどの極力シンプルなものをお勧めします。この目的に使う場合、ディレイは隠し味のような存在なので、複雑な設定をもつものをガッツリ作り込むと逆に混乱するので避けたほうがいいでしょう。

ロングトーン多めのメロディーにのせるとおおらかに

45秒からのトランペットにも8分のディレイがかかっていますが、他に比べれば目立った印象はないと思います。1分や2分などの長い音をよく使うメロディーの場合、ディレイを乗せると柔らかく大らかな印象をもった音にすることができます。

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この効果はメロディーを書かなくても、設定だけしてしまって鍵盤を適当に叩いているだけでもよくわかるので、足がかりとなる発想が特にないような時にも試しで使えます。

トラックディレイとその応用

やや負荷が大きめですが、トラックを丸ごとコピーしてしまい、任意で発音を遅らせ、ボリュームを小さくするトラックディレイという手法もあります。仕組みはテープエコーと変わらない原始的なものですが、DTMにおいては「ディレイ音を任意で加工できる」という強みが出てきます。

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つまり、ディレイ音そのものにディストーションをかけて歪ませる、ピッチベンドやビブラードで音程を変える、ボリュームを変化させる、好きなタイミングでLRのパンを操る、コーラスやフランジャーをかけるといったアプローチが全く自由に簡単にできるということです。

 

実際の機材でこれらを実現しようとするとかなり大変なことになりますが、DTMではPCのパワーがある限り何の問題もなくシミュレートしてしまえるので、いろいろ加工した突飛な音を曲に盛り込みたい方は使ってみるといいでしょう。

 

サンプル曲ではショートディレイを除くと4分から16分程度のものしか使っていませんが、1分や2分、ステレオディレイでも使っていない組み合わせもまだまだあるので、ぜひ自分で特徴的なディレイ効果を作ってみてください。

 

今日は以上です。

 





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プロフィール

よっしー

よっしー(田中義一)

1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚