2017.5.18
音楽を志すきっかけとなった憧れの名曲をカバーする……バンドマンであれば誰もが通る道だといえるでしょう。音楽シーンの第一線で活躍するミュージシャンたちは、原曲の魅力を損なわずに自分たちの個性を加えて、名曲をさらなる高みへと昇華させてしまいます。今回は、原曲の魅力と演奏者の個性が見事に融合した珠玉のカバー曲を、みなさんにご紹介していきます。これを参考にあなたも今一度カバー曲制作にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Ministry(ミニストリー)は、アメリカ合衆国はイリノイ州で結成されたインダストリアル・メタルバンドです。エレクトロとスラッシュメタルを融合させた攻撃的なサウンドは後続のバンドに多大な影響を与えています。言わずと知れたロック界の名曲を、バリバリのインダストリアル・メタルとして解釈したこのカバーは、MinistryとRolling Stones双方の魅力を再確認させる素晴らしいアレンジだといえます。
【原曲】
Children of Bodom(チルドレン・オブ・ボドム)は、フィンランドはウーシマーで結成されたメロディック・デスメタルバンドです。きらびやかなキーボードとテクニカルな速弾きギターが特徴的ですが、リードギター兼ヴォーカルを務めるアレキシ・ライホのデスボイスを除けば、音楽性は正統派メタルに限りなく近いといえます。
誰もが知る世界の歌姫、ブリトニー・スピアーズの楽曲をメタルバンドがカバーするというのは一見してウケ狙いのようにも思えますが、そのアレンジは実に本格的。艶かしい女性ヴォーカルとデスボイスの対比が印象的な名カバーです。
【原曲】
ヘヴィメタル界を代表するヴォーカリスト、ロニー・ジェイムズ・ディオと、ロックギター界に革命を起こした超絶ギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンらによる、エアロスミスへのトリビュートです。ロニーの圧倒的な歌唱力とイングヴェイの感傷的な速弾きギターは、原曲さえ霞んでしまうような異次元の完成度を誇っています。
【原曲】
Cradle of Filth(クレイドル・オブ・フィルス)は、イングランドはサフォークで結成されたゴシック/シンフォニック・ブラックメタルバンドです。超高音域のスクリーチを自在に操るヴォーカリスト、ダニ・フィルスのパフォーマンスとキャッチーでシアトリカルな楽曲は、当時のエクストリームメタルシーンに大きな衝撃を与えました。
ブラックメタルバンドがIron Maiden(アイアン・メイデン)をカバー? と思った方も多いかもしれませんが、アレンジは紛れもなく正統派メタルそのもの。原曲のドラマチックな展開が彼らの個性と奇跡の融合を果たし、素晴らしいカバー曲に仕上がっています。
【原曲】
Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ)は、アメリカ合衆国を代表するミュージシャンのひとりで、現代のポップミュージックの在り方を方向付けたといっても過言ではないほどの絶大な影響を音楽界に与えました。
そんな彼が30年以上の後輩にあたるインダストリアル・ロックバンドの楽曲をカバーしたことは、多くの音楽ファンを驚かせました。成熟した歌声で綴られる静謐の世界は、原曲が霞んでしまうほどの凄まじい完成度を誇っています。ある意味では、どこか大人げないような気さえしてしまうほど……。
【原曲】
Opeth(オーペス)は、スウェーデンはストックホルムで結成されたプログレッシヴ・メタルバンドです。初期はデスメタル色の強い音楽をプレイしていますが、活動を重ねるにつれてエクストリームな要素は徐々に薄れていき、現在ではデスメタルの要素はほぼ皆無です。
NIRVANA(ニルヴァーナ)に並ぶグランジの代名詞ともいえる伝説のバンド、Alice In Chains(アリス・イン・チェインズ)の代表曲を、彼ららしい深みと広がりのあるサウンドでアレンジしたカバーは、まさに名カバーと呼ぶに相応しい会心の出来だといえるでしょう。
【原曲】
Type O Negative(タイプ・オー・ネガティヴ)は、アメリカ合衆国はニューヨーク州で結成されたゴシックメタルバンドです。ドゥームメタルやハードコアを呑み込んだ独自の音楽性は他の追随を許さないものでした。2010年、ベース兼ヴォーカルを務めていたピーター・スティールが心不全で亡くなったことによって、バンドは解散を余儀なくされました。
原曲の不穏で重苦しい雰囲気と悪魔崇拝的な思想性を極限まで増幅し、また自分たちの個性を思う様反映させたアレンジは、強いリスペクト精神を感じさせると同時に、彼らの音楽センスの高さを伺わせます。数え切れないほど存在する本楽曲のカバーの中でも、群を抜いて高い完成度を誇っています。
【原曲】
Prince(プリンス)は、アメリカ合衆国はミネソタ州出身のミュージシャンです。2016年4月21日に惜しくも亡くなられましたが、彼の多彩な才能は音楽界に華々しい功績を残しました。シンガーソングライターのみならず、ギタリストとしてもトップクラスの実力を兼ね備えており、晩年には“現役最高のギタリスト”とさえ言われていました。
プリンスは2007年スーパーボウルのハーフタイムショウに出演し、そのパフォーマンスの中でアメリカ人なら誰でも知っている名曲をメドレー形式でカバーしています。どちらも鳥肌が立つほどの格好良さで、このハーフタイムショウを観て彼の天賦の才能を改めて思い知ったという方も少なくないのではないでしょうか。
【原曲】
原曲に勝るとも劣らないであろう名カバーをご紹介してきました。
みなさんはどう感じられたでしょうか。
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よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚