2017.10.1
音楽制作やDTMをある程度やっていると、どうしても「もっと良い音源を導入したいな」という欲が出てくるものです。パッケージ版であれDL版であれ、現在は大量の音源がリリースされているので、検討するにしてもかなりの時間がかかってしまいます。デモ曲を聴いても、自分の環境や実力、センスとはかけ離れてしまっているため、あまり参考にならないまま気分だけ乗せられてしまうこともあるでしょう。
後悔しない音源選びのために、筆者が気をつけている要点を挙げてみます。
DTM関連はデベロッパーやメーカーにユーザー登録を行っておくと、定期的に新作やセール情報が送られてきます。DL版は特に割引率が高くなりやすく、ついつい飛びついてしまいたくなりますが、その前に一歩踏みとどまって、いつの製品か、前にセールはあったかを確認しておきましょう。
身も蓋もないことを言ってしまうと、リリースから一か月も経っていないのに大幅値引きされているものは、既存のユーザーからの期待があまり高くない場合が多いです。有料である以上、無料で得られるものよりは遥かに機能や音質で優れていますが、前に出した製品や競合している製品と比べて、そこまで目立った利点がなかったり似通った内容だったりします。
正直なところ、0から環境を作る場合はどのような製品を買っても向上になると思いますが、長く続けたり、クオリティを追求したい場合はセールになっている理由を一度慎重になって考えた方が後悔しません。7~8月にかけてのサマーセールと、11月の第4金曜日から始まるブラックフライデーの期間は特に割引率が高くなるので、時期がくるまで待つのも手です。
高価な音源は大抵その分だけ費用をかけて制作されているので、プロの求める需要にも応えられる品質が保持されています。ただ、それが「自分に合った方向性か?」となると別問題になります。
オーケストラの音源を例に挙げると、3万円以下で一式を手に入れられるマルチ(総合)系や、金管楽器(ブラス)だけで6万円を超す製品も存在します。前者はオーケストラ専門ではなく、あらゆるジャンルで投入できる汎用的な音になっている可能性が高いですし、後者ならソロ演奏などの表現力を追求する時に効果が期待できると思います。中には、高価で他にはない品質を持っていても、他の音源と合わせにくいと評判の音源もありますので、自分がどういう曲を作っていきたいか、何をメインにし、制作環境のどこを補強したいのか、整理しておくのが大事です。
ピアノ音源がその良い例で、他の楽器をメインに置いてそのリアリティを重視する場合、ソロ用の細かい音の差を表現できる高い音源より、マルチ音源のストレートで目立った特徴のない音のほうが合わせやすいといったケースがあります。プログラムの軽量化が困難で要求スペックが非常に高くなっているものもあるので、自分の制作規模に本当に合っているかよく考えて検討しましょう。
あらゆるジャンルに手を出してみるにせよ、特定のジャンルに特化するにせよ、自分にとって使いやすく工夫しがいのある音が多く揃っている状況を作るのが、音源を買う大きな目的です。
曲を作る側は、音の出し方、曲の構成を工夫するのがメインの役割です。なので、その立場からは困難なことである「高品質で使いやすいサンプルの収録」や「プログラムによる出音調整や加工方法搭載」が音源に求めるものとなります。
しかし、これらの技術情報は宣伝目的で頒布する以上のものは企業秘密になってしまうためなかなか出てこず、エンドユーザーは直接使ってみないとわからないという結果になってしまうのが実情です。そこで頭に入れておきたいのが、メーカーの個性という考え方です。
実際商品として出せる音源を作るというのは容易ではなく、音楽的な専門知識を用いて収録、監修できる人材と、その意図を理解して的確にプログラムできる人材が不可欠です。
多種多様で魅力的な音が収録されていないと商品として成り立たないので、実際に作業できる人は少なく、規模によっては年単位の時間がかかったりもします。そのためメーカーの音の作りようが短期間で急激に変化するというのはあまりなく、メーカーも既存商品の良さを引き継ぎつつ、新しい要素を取り入れた音源を出そうと努力していることが多いです。なので、今ある音源とは違った印象の音、レパートリーを増やしたいなら、持っていないメーカーの音源を試してみるのが一番手っ取り早い方法だったりします。
同じ楽器の音でも、メーカーによって使い道が変わるぐらい別物なことも珍しくありません。
高度なアルゴリズム処理や大容量のサンプルを扱えるようになった昨今の音源に、実用面が怪しまれるようなものはほぼなくなっています。簡易なリバーブは当たり前に装備されていますし、音色検索の利便性にこだわりを見せる音源があったりすれば、細かい音色の差分(ベロシティレイヤーなど)を収録した大容量をアピールする音源もあったりします。
外部のエフェクトを使わなくても結構幅のある音が作れてしまうので、「〇〇をもってないから~」という考えは今や作曲、DTM技術を軽視しかねない危ういものとなっています。あくまで音源は音楽的な道具であり、それを使って実際の音を構成するのは使用者本人であるということを忘れないようにしましょう。
今日は以上です。
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よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚