2022.3.12
現在は自主制作でもCDプレスをしてメジャーバンドのような完全パッケージされたCDを容易に制作することができるようになりました。ショップへの流通やネット配信も専門のディストリビューターへ依頼することでインディーズバンドでも容易に流通することもできます。
つまりどんなバンドもCDの制作から販売までバンド個人でできるのです。
でもまだその方法が分かりづらい部分があるのも事実です。CDプレスを行うのはレコ発のノウハウを持った経験豊富なバンドか自分で色々調べられるような行動力のあるバンドなど一部に限られてます。
そこで今回は、次回のレコ発で失敗しないCDプレス前に知っておきたい基礎知識や制作の流れを説明したいと思います。
専門のプレス工場にて原盤(スタンパーと呼ばれる金型)を作製し大量生産する製造方法です。CDプレスしたCDと自分でコピーしたCD-Rでは記録信号の品質が異なるので音質も変わってきます。
原盤(スタンパー)という金型を使用して盤面にピットという凹凸を形成します。そのピットを読み込むことでCDを再生していきます。物理的にデータを刻んでいくのでデータが劣化することもなく長期保存も可能。大量生産が可能で100枚以上のプレスの場合は枚数が増えるごとに単価が下がっていきます。
色素膜にレーザ光を当て熱を利用してマークという模様を形成していきます。CD-Rのマークによる模様だと音質が悪かったり一部のCDプレーヤーで再生できない場合があります。長期保存に向いていないので流通を断られる場合も多いです。無料配布CD向け。
CDプレスは基本的にプレス業者に依頼しますが、その際以下の全てをセットで制作しますので完成品はCDショップのCDと同じフルパッケージ納品となります。
●CDプレス
●CDジャケット印刷(ジャケット、帯、バックインレイ)
※バックインレイとはケース裏のバックカードのことです。
●盤面印刷
●シュリンク包装(透明のビニール包装)
CDプレスには大まかに4つのケースの種類があります。
一番オーソドックスなアルバムタイプのプラスチックCDケースで厚さは10mm。
●印刷物
ジャケット、バックインレイ、帯全ての印刷物が付属します。
シングル盤やサンプル盤などに使用されることの多いプラスチックCDケースで厚さは5mm。
●印刷物
表紙ジャケットのみ
コンパクトなアナログレコード風のCDケース。個性を出したいときにおすすめです。2ページと4ページのタイプがあります。
4ページ紙ジャケットは下記のようなタイプになります。
●印刷物
ジャケット
見開きのジャケットとプラスチックトレイが一体になったCDケース。個性を出したい時におすすめです。
●印刷物
ジャケット
大まかに分けると以上の4つがCDプレス用のケースの種類になります。プレス会社によってはこの他に特別な仕様のケースを取り扱っている場合があります。
アルバムやシングル、もしくは他と差別化するために特殊なケースを使用するなど用途に応じて使い分けましょう。
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一般的なジュエルケースの印刷物には以下のものが含まれます。それぞれの印刷物でどのようなデザインにしたいのか検討しておきましょう。
引用 -http://www.tech-t.co.jp/help/data_guide_map.html
CDの表紙に使用する一番一般的なCDジャケット。2ページから16ページまで選ぶことができます。
16ページでも歌詞が収まりきらない場合は歌詞カードを追加することができます。ジャケットと歌詞カードのページの合計は20ページまでとなります。
CDケースの裏側に差し込む印刷物でバックカードとも呼ばれます。CDの側面とつながっていて側面にはタイトルとバンド名を記載します。(この側面の上から帯を被せます。)
外側には曲名を記載する決まりがあります。内側はCDトレイの下から見える部分になります。
バックインレイ外側の画像
バックインレイの側面
CDケースの上から被せる帯です。キャップとも呼びます。CDに関する情報を載せるための印刷物です。記載する内容は以下になります。
●キャッチコピー
●金額
●タイトル
●バンド名
●曲名
●販売会社(自主制作の場合は記載なし)
●発売日
●著作権に関する表記(その他必要記載事項)
●バーコード
などを準備する必要があります。
※バーストでは著作権に関する表記(その他必要記載事項)など分かりづらい部分をこちらで用意しています。その他の表記について不明な点もご相談を受け付けています。
印刷物や盤面のデザインデータはAdobe illustratorという専門のソフトで制作する必要があります。プレス業者によってはAdobe Photoshopにも対応しているところもありますが、歌詞などの細かい文字がAdobe illustratorの方がきれいに印刷されます。
これらのソフトは商業デザイン用ソフトなのでかなり高額で使いこなすのも難しいです。デザイン経験のない人はデザイナーやデザイン会社に依頼しましょう。
デザインのみをデザイン会社に依頼してプレスについてはプレス業者を探して依頼します。どのようなデザインにしたいのかあらかじめバンド内で決めておき依頼の時に伝えられるようにしておきましょう。参考にしてほしいCDジャケットの画像などあるとスムーズです。
プレスする業者をあらかじめ決めておきその業者のデザインテンプレートでデータを作成してもらいます。
デザインテンプレートはプレス業者ホームページからダウンロードします。
知合いにデザイナーがいれば依頼してデザインデータを作ってもらいましょう。こちらもプレス業者を決めておきそこのテンプレートを使用してデータ作成しておきましょう。
知合いということで細かい打合せができる点がメリットです。逆にデメリットとしてはCDジャケットを制作した経験がないと著作権表記や帯の記載事項などのルールがわかりづらいことです。CDショップなどに流通する場合はルールに沿ってデータ作成する必要があります。
バンドでデザインできる人がいる場合は自分デザインしてプレス業者に入稿します。デザインデータはAdobe illustratorを使用します。著作権表記や帯の記載事項などしっかり記載できるようにしておきましょう。
バーストではデザインからCDプレスまでを行っています。全て丸投げできるのでデザインとプレスを別の業者に依頼する手間が省けます。デザイン会社とプレス業者それぞれからマージン(会社の利益)を取られることがないので費用も安くすみます。
財団法人流通システム開発センターの発行する商品特定のための13桁のコードのことです。一般的によく目にするバーコードのことです。
CDにバーコードがあるとCDショップやアマゾンで流通することができます。もしCDプレス時に流通の予定がなくても今後バンドが成長し流通する事があるかもしれません。その場合でも問題ないようにあらかじめバーコードを取得してCDプレスしましょう。
バーコードがあった方が「流通までしている本格的に活動するバンド」というイメージを与えますのでたとえ流通の必要がなくても取得することをおすすめします。要するに売れてるバンドに見えます。このようにバンドを大きく見せることはブランディングにつながりますので取得しましょう。
財団法人流通システム開発センターか最寄りの商工会議所に申請します。大体申請してから2週間前後で取得できます。費用は10,500円〜かかります。
※バーストではJANコードを無料取得代行しています。
国内プレスと海外プレスの違いはプレスする工場が国内の工場か海外の工場かの違いです。よく国内プレスは品質が良くて海外プレスは品質が悪いのではないかという声を聞きますがそれは一昔前の話です。
2016年現在では品質の違いに差はありません。
国際標準ISO9001取得工場であれば海外プレスでも高品質のプレスをしてくれます。
国際標準ISOとは簡単に言うと国際間の取引をスムーズにするために取り決められた共通の基準のことです。ISO9001という規格は品質マネジメントシステムという意味の規格番号で、国際基準でみて高品質である場合に発行される規格のことです。
バーストではこの国際標準ISO9001取得台湾工場にてプレスを行っております。
「Pressed in Taiwan」の表記も必要ありません。
納期はプレス業者によって異なりますので各プレス業者のサイトをチェックしましょう。
ちなみに海外の方が安い場合が多いので割合で言うと多くのバンドが利用しています。
CDプレスをする場合はプレス業者にマスター音源を送りそれをもとにプレスを行います。入稿するマスターの仕様はプレス業者によって異なりますので利用するプレス業者のサイトを入稿前に確認してください。
マスターに不備があるとプレスがストップしてレコ発の予定が狂ってしまう場合がありますので慎重にチェックしましょう。再生確認は必ずしておきましょう。
基本的には下記形式のデータを使用します。
●CD-Rマスター
・音楽 CD(CD-DA)
・データ CD(CD-ROM)
・エンハンスド CD
●DDPマスター
DDPファイルをCD-R、DVD-Rに書き込んだもの
①レコーディング・マスタリングの準備
②デザイナーやデザイン会社にジャケットデザインを依頼する
③デザイン完成までにマスターCD-RをCDプレス会社に郵送
④CDプレス会社に依頼・プレス開始
⑤CD完成・納品
マスターCDの郵送はデザイン完成までで大丈夫なので、マスタリングはデザインと同時進行で進められるようにしましょう。
●マスターCD
●どんなデザインにしたいかイメージをデザインナー・デザイン会社へ伝える
たったこれだけです。レコーディング・マスタリングをして、デザインについて打合せをして、マスターCD-RをCDプレス業者へ送るだけ。あとは納品を待つのみです。
大体どの会社も1週間~3週間前後を予定しておきましょう。ただデザインというのは明確な日数を決められるようなものではありません。例えばなかなかカッコよく仕上がらないときはもっと時間をかけて修正したりする必要があるかもしれません。そんな時に「レコ発に間に合わないから急いでほしい」なんて言われるとダサいまま納品されてしまうなんてことになりかねません。カツカツのスケジュールで依頼するのはなるべく控え、1~2週間余裕を持って依頼しましょう。
大体11~14営業日くらいの場合が多いです。営業日というのは休日を含まない平日のみの日数なので3週間くらいになります。各CDプレス業者によって納期は変わりますのでサイトを確認しておきましょう。マスターに不備があった場合や、天候や事故で配送に時間がかかってしまった場合なども考えてこちらも余裕を持って依頼しておきましょう。
CDプレスは色々とわからないことが多く経験のないバンドはなかなかハードルが高いかもしれません。でもちゃんとその方法を調べれば初めてのバンドでもCDプレスで最高品質のCDを作ることが可能なのです。むしろ結構簡単だったりします。
手作りでCD-Rをコピーして、CDジャケットをプリンターで印刷して、メンバーで手分けしてセッティングして・・・。そういう経験も大事かもしれません。ですがCDプレスに比べるとやはりセールスは下がってしまうのが現状です。単価も高く売るのは難しいです。それでは貴重な時間だけが過ぎてブレイクまでの道のりは遠ざかってしまいますね。
バンドを結成したら足踏みしていられる時間はそう長くはありません。20歳になったら30歳はすぐ訪れます(笑)「初めてのレコ初だから手作りで細々とリリースしよう。」なんて考えていると本当にスタートダッシュに失敗してしまいます。
初回のCDセールスが少ないと2回目のレコ発のセールス目標が自然と少なくなります。
●初回セールス50枚⇒次回目標100枚
でもしっかりとしたCDを作ることで初回セールスが100枚だったらどうでしょう。
●初回セールス100枚⇒次回目標200枚
次回は200枚以上を目指しますよね??
初めてのレコ発でどれだけセールスできたかどうかで今後のバンドの成長速度が決まってくるんです。スタートダッシュに失敗して若い頃の貴重な時間を失うと本当にあとから取り戻すことができなくなってしまいます。初回リリースのレコ発だからこそ完璧にCDプレスをしてCDセールスを伸ばしていきたいですね。
今回はわかりにくいCDプレスの基礎知識をわかりやすく説明しました。ぜひ内容を覚えて次回のレコ発に役立ててもらえればと思います。
以上です。
⇒【CDプレスとは何かを知ろう】レコ発前に知っておきたい基礎知識
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⇒CDジャケットの作り方【素人でもプロ並みのCDジャケットを自作】
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よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚