2017.5.30
バンドマンがリハーサルをする音楽スタジオは、普段何気なく使ってはいるものの、色々な音響機器があります。マイクからミキサーにつながり、パワーアンプを通って(隠れていることが多い)スピーカーから音を出すことで、バンドの音楽のチェックが出来る訳ですが、「適切なボリューム」があるのはご存知でしょうか?
リハーサル時の音量については、なんとなくやっていると「良いバランス」でのリハーサルが出来ません。そこで今回は音響スタッフが教える、「音づくり」の前に確認しておきたい「音量バランスの作り方」を紹介します。
スタジオでリハーサルをする際、楽器の中で一番ボリュームのコントロールが出来ないのは「ドラム」です。ドラムは打楽器の為、打てば音が鳴るわけですが、ドラマーの叩く力でそのボリュームが決まります。
またリハーサルの場合は多くの場合がドラムにマイクを立てないことが多いと思いますが、その日のドラマーの音量に合わせて楽器のアンプ、ボーカルのマイク音量などをセッティングすることが必要です。規模などにもよりますが、ドラムを基準にボリュームが決まる、と覚えておいて損はありません。
大規模なステージでは、ドラムも含めたすべての楽器にマイクを立てるのが一般的であり、「モニタースピーカー」と「PAオペレーター」によるボリューム調整が基本となりますので参考までに。
先述の通り「ドラムのボリュームに合わせた音量」が、基本的な考え方となります。しかし、楽器用アンプの注意する点としては「立っている位置によって全然聞こえ方が違う」という点です。割と初歩の問題ですが、改めて確認してください。
アンプとは、ヘッド+キャビネットの「スタックタイプ」、一体型の「コンボタイプ」に分かれますが、どういったタイプのアンプでも、最終的には「アンプのスピーカー」を通って音が出ています。
音の飛ぶ方向というものには「向き」があります。アンプの横に立って演奏するのと、アンプの前に立って演奏するのでは聞こえ方にかなり差があるのは、バンドマンであれば経験があるのではないでしょうか。
ギタリストにありがちですが「自分の位置で聞こえないから…」とボリュームをどんどん上げていくと、反対側で迷惑をこうむる人がいる場合もありますので、自分の立っている位置に関しては注意が必要です。
マイクを立てないリハーサルの際は、部屋の中央で各楽器がバランスよく聞こえるのがちょうど良いバランスと言えるかもしれません。自分の音が聞こえにくい際は、立ち位置を変えることも重要です。
ベースのアンプも基本的にはギターと同じ考え方ですが、注意が必要な点があります。ベースが担当する音域・低い音程は、音響特性として「指向性を持ちにくい」という特徴があります。周波数の話になりますが、人間の可聴周波数は20hz~20khzと言われています。高音域(20khz)は指向性が強く、低音(20hz)に近づくにしたがって、音自体の方向感がなくなります。
「ローが回る」などと聞いたことがあるかも知れませんが、この特性に基づくものです。ベースの音はこの低音域を他の楽器より多く含んでいるため、聞こえづらいと感じていても実はとんでもない音量が出ていたりすることもあります。この低音域は壁際を伝うといった特徴があるため、部屋の中央では良いバランスでなっているものの、ベーシストが自分の音を聞きづらい際は、壁際に立ってみるのも良いかも知れません。
マイクに関しては、最初に書かせて頂いた通り、スタジオの機材を使い、スピーカーから鳴らすのが大半でしょう。ボリューム設定に関しては、ドラム及び他の楽器に負けない音量が必要です。
ですが、マイクのボリュームは、上げ過ぎてしまうと「ハウリング」が起こり、大変うるさい思いをした方も多いのではないでしょうか?このハウリングに関しては、ある程度はミキサーの機能を使う事で防止することができます。普段なんとなくやってしまっている方は参考にしてみて下さい。
ミキサーには“High”(“Mid”)“Low”のつまみで構成される「パラメトリックイコライザー」(パライコ)が付いています。また数字と上下に動かすレバータイプの可変スイッチのついた「グラフィックイコライザー」(グライコ)が一緒についている場合があります。
どちらも特定の周波数をカット/ブースト出来るものです。これらを基本的には「カット」する方向で使用します。マイクなどを繋いでいるチャンネル(縦の1列)を見てみると、各チャンネルにパライコが付いているのが一般的だと思いますが、まずは少しずつ音量を上げて、ハウリングしそうな周波数帯域を探してカットします。
チャンネルのイコライジングと同時にマスター出力のイコライジングを行います。どちらも初めは「キンキンした音がするからHighをカット」「ボヤっとした音がするからLowをカット」といった具合にやってみて下さい。慣れてくればグライコによる特定の周波数のカット/ブーストでさらに良い音を狙えるようになってきます。慣れが必要な部分ですので、少しずつ実験してみましょう。
また、ハウリングするポイントをカット出来ると、マイク自体の音量(ハウリングしていない帯域の音量)を上げる事が出来るようになるため、他の楽器に負けないボリュームを稼ぐことが出来るようになります。覚えておいて損はありません。
リハーサルなど、普段何気なく使っているスタジオでも、より良い環境で練習することはバンド全体の実力向上につながるはずです。その初歩として「ボリューム」の感覚をバンド内で感覚をすり合わせるのも重要だと思います。
「自身の楽器が聞きやすい」だけではなく、周りの音が聞きやすい環境を普段から作れるように、日々のリハから意識してみて下さい。
以上です。
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よっしー(田中義一)
1985年千葉生まれ。バーストのブログを書いている人。デザインも少々。これまで1,000を超えるバンドにデザインを提供してきました。基本サッカー見ながらパソコンいじってる。外出時はパソコンいじれなくてソワソワして落ち着かない。
性格⇒ポジティブだけど打たれ弱い。超リアリスト。
好きなもの⇒ハンバーガー、サッカー観戦、熱帯魚